平成7年の7月3日、あの子が車に跳ねられて、血だらけになっていたのは。。。
仕事から帰ってくると、ET見たいな･･･うーん、顔は変形して、目はゼリーみたいに
ぐにゅぐにゅ飛び出していて･･そんなネコがうちにいた。
近所で見かけるノラねこだった。
お隣さんが「お宅のネコがひかれてるみたい！」と言いに来て、あわてて母が飛び出していったら、
この子だったそうな。
アスファルトの道には結構血が流れていて、母は、もう死んでしまっていると思い、
道の端においてあげようとしたら、ヒクヒクと動いたので、抱いて帰ってきた。
でも、獣医さんはお休みで、電話も繋がらない････
きっと、朝まで持たないと思った母は、せめてうちで見とどけてあげたいと思ったと。。。
私も母も、殆ど眠れず、様子を伺いながら朝を待った。かすかな望みをもってネ。
一晩中苦しそうなうめき声を立てていた子は、頑張って朝を迎えた。
すぐに獣医さんに電話！
動かすのも怖いくらいで、朝一番で、獣医の大先生が、助手さんを連れて往診。
骨折もないし内臓も大丈夫らしいから、助かりますよと。ただ、目は眼球破裂で
多分全盲でしょうと･･･
かなりのショック！
でも、とにかく治すために入院。。。
あの子は、病院の車に乗って消えていった。
それから18日後、その間には一日置きに様子を知らせてくれる電話があったが、
あの子は綺麗な顔になって帰ってきた。
でも、まったく見えない。
ましてノラだったから、触ろうとすると、しゃーーっ！と言って、爪をたて、
見えないものだからやたらと空を切る。
最初の2日は、声をかけながら触ろうとして、手を引っかかれ、かじられ、
箱から出ることもできず、垂れ流し。。。。このままではどうしようもないと、
ひっかかれてもひっかかれても、触ろうとした。何しろ自分で箱から出ることもできないのだから･･･
3日目。
手にタオルを巻き、遠くの方から声をかけながら、少しずつ近づく。
髭が触れるとタオルを引っかいて、噛み付く。そのまま噛み付かれている。
数回これを繰り返し、少し安心感が出たようで、そっと背中をぽんぽんと軽く触る。
戻ってきてから何も口にしていない。動けないし、見えない不安と、人を信用していないノラ。
先生は４～５日何も口にしなかったら、また連れて来いということだった。
途方にくれたが、諦めるわけにはいかなかった。
とうとう、この日の晩、温めた牛乳を舐めた。
うれしかったなぁ～。
それからは、遠くから声をかけ近づくと、何とかおっけー、そして、まる3日垂れ流した箱から、
やっと抱いて出すことに成功。しかし、床にそっと身体を置いてあげると、
右に回ってしまって歩けない。
全盲のためなのか･･･仕方なく、時間を見て母と私がトイレに抱いて連れて行く。
こうなると、決してお漏らしはしなかった。お利口な子だ。
食欲もどんどん出てきて、右回りしながらも何とか頑張って食べれるようになった。
日に日に元気になってくるこの子がかわいくて仕方なかった。でも、突然後ろに行って、
声をかけると、しゃーっ！！暫く続いた。
ところで、一番困ったのがお水。
味も、匂いもないから、全盲の子に解るわけがない。最初は牛乳でよかったけど、
お水が一生飲めなかったら大変。毎日数回、ちゃーちゃんを抱いて、お水の側に行く。
そして、器をコンコンと叩いて、彼の口に水をつけた私の指を運び、その後、
彼の顔を水面に･･･毎日毎日繰り返した。
ちゃーちゃんが自分で、あちこちぶつかりそうになりながら歩いて、
水を飲みにいけるようになったのは、半年後のことだった。本当にうれしかったよ。
ただ、今でもそうだけど、器の場所を変えたら、まったく解らなくなってしまう。
言葉が通じたら、お水はここよって教えてあげるのに。。。。。
その子が今日まで頑張って元気に生きてきてくれた。
今では家の中を走ってる（笑）ただ、私が本やバッグを置いたりすると、普段ないものだから、
ぶつかってこけてるけど。こんな時は本当に見えないんだなって改めて思う。
ちゃーちゃんが元気になって、その姿に涙したことがたくさんあった。
1つは、壁に向かって座っていること。前が見える子は壁に向かって座ってないもの･･･
あとはネ、外で鳥の声がすると、出たがって。で、側について、外に出してあげると、
見えない目で、鳥の声を追うの。。。。
上を向いて左右に首を動かし、身を乗り出し、一生懸命何かしようとするの。
でも、その後、諦めて、宙を見る。その姿が哀れで仕方なかった。
事故の時、しっかり大人だったから、今13歳くらいかなぁ･････
真っ暗闇の中で、この子もまた必死に頑張っている。。
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